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本症例のポイント

The Society for Vascular Surgeryのガイドライン1では、GRADE II以上の外傷性胸部大動脈損傷に関しては可能な限り早期での治療が推奨されており、解剖学的に可能であればTEVARが第一選択とされている。(大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2においては、Class I, Level C)

外傷性胸部大動脈損傷は大動脈峡部に生じることが多く、損傷部から左鎖骨下動脈までの距離が近いケースが多い。また、若年であることも多く、大動脈弓部が急峻であることも多い。このため、急峻な角度に追従し、短いランディングへの正確な留置が成功のポイントとなる。

ゴア® TAG® コンフォーマブル 胸部大動脈ステントグラフト アクティブコントロールシステムは、本邦で唯一*、外傷性大動脈損傷への適応を有するデバイスであり、使用が有用であった例を提示する。

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田中 弘之 先生 昭和大学藤が丘病院
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堀 祐郎 先生 昭和大学藤が丘病院

昭和大学藤が丘病院 

症例 

  • 患者:60代 男性
  • 現病歴:乗用車の単独事故
  • 来院時所見:SpO2 98% (O2 2L), BP 121/79, HR 97, WBC 17140, Hg 15.8 g/dL, PLT 24.3万, Cre 1.62 mg/dL, GOT 231 U/L, GPT 95 U/L, CK 417 U/L 

来院時クレアチニン値の軽度上昇があったため、単純CTのみ施行。左第5-9肋骨骨折、肺挫傷、縦隔血腫、右副腎損傷を認めた。翌日に造影CTを撮影し、外傷性胸部大動脈損傷、SVS GRADE IIIが判明し、準緊急でTEVARの方針となった。 

  • 本症例では頭蓋内出血や著明な腹腔、骨盤内の出血を認めないため、通常量のヘパリン使用(ACT200秒前後)とした。
  • 左総大腿動脈に7Frシースを留置し、アクセスとした。
  • スティッフガイドワイヤーを上行大動脈まで進め、20 Frゴア® ドライシール フレックス イントロデューサシースに交換した。
  • デバイスは術前CTによりTGMR312610Jを選択し、胸部下行大動脈まで進めた。LAO55°にCアームを調整し大動脈造影を撮影し、ガイドワイヤーを押しつけながら左鎖骨下動脈分岐直後にTAG® コンフォーマブル ステントグラフトを一次展開した。
  • 一次展開後に実施可能な最大値までアンギュレーションをかけ中枢側を大動脈に対しパラレルにした。
  • 一次展開後にTAG® コンフォーマブル ステントグラフトの中枢側のゴールドバンドマーカーを確認したところ直線に近かったため、Cアームの角度は適切であると判断し、この角度のまま展開を継続した。
  • ガイドワイヤーの押しつけを維持しつつ完全展開を実施し、中枢側が大動脈にパラレルであり、小弯側にbird beakが無いことを確認し、完全展開後のアンギュレーションは行わなかった。
  • DSAを施行し、エンドリークやRTADが無い事を確認し、バルーン圧着は不要と判断。アクセス造影にて損傷がないことを確認し手技を終了した。
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術前 CT サジタル
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術後 CT サジタル

結果・術後経過

手術室にて抜管、対麻痺は見られなかった。術後5日目のCTにて仮性瘤は消失し、エンドリークも認めず、左鎖骨下動脈の造影は良好であった。術後12日目に軽快退院した。

 

考察 

外傷に対するコンフォーマブル ゴア® TAG® ステントグラフトの治療効果は、臨床試験5年フォローアップ成績(TAG08-02)により良好であることが報告されているが、今回さらにコントロール機能が追加された。

アクティブコントロールシステムに進化したTAG® コンフォーマブル ステントグラフトはステージドディプロイメントによりデバイスを微調整する機会を複数回有している。

特に一次展開後にCアームを調整することにより、デバイスを正面視することが可能で視差によるネックの損失を最小限に抑えることができる。

また若年者の急峻な弓部に対してもアンギュレーションコントロールを実施することにより、bird beakを抑制でき予後の向上が期待できる。TAG® コンフォーマブル ステントグラフトは幅広いトリートメントレンジ、幅広いオーバーサイズ範囲(6-33%)を有しており、大動脈径の細い若年者においても選択できる。外傷性ショックによる大動脈径のアンダーサイジングの可能性・経年による血管拡大にも対応できるサイズ選択が可能であるのもアドバンテージである。 

 


*2020年11月現在

  1. W. A. Lee, J. S. Matsumura, R. S. Mitchell, M. A. Farber, R. K. Greenberg, A. Azizzadeh, et al. Endovascular repair of traumatic thoracic aortic injury: clinical practice guidelines of the Society for Vascular Surgery. J Vasc Surg 2011;53:187-92.  
  2. 日本循環器学会/日本心臓血管外科学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会合同  2020年改訂版大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン 

本資料に示される情報は完全なものではなく、すべての症例に適用できるものではありません。また、電子添文および各症例に関する医療関係者の専門的な判断の代替となるものでもありません。各患者への医療行為に関するすべての判断は、それを行う各医療関係者の責任に属するものであり、当社はこれらに関する判断、助言等を行うものではありません。 

 

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販売名:ゴア®CTAG胸部大動脈ステントグラフトシステム

承認番号:22500BZX00427000

一般的名称:大動脈用ステントグラフト

 

販売名:ゴア®ドライシール   フレックス   イントロデューサシース 
承認番号:22800BZX00461000 

一般的名称:心臓用カテーテルイントロデューサキット