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チャレンジングポイント

外腸骨動脈(EIA)-総大腿動脈(CFA)-浅大腿動脈(SFA)全領域にわたる慢性完全閉塞(CTO)病変。ハイブリッド治療を選択。SFAについては包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)患者における高度石灰化CTO病変。確実な病変プレパレーションとファイナライズが創傷治癒に必須である。

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吉岡 直輝 先生 大垣市民病院

患者背景・病変背景

  • 年齢:70歳代 性別:男性
  • リスク因子:高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙
  • Rutherford分類:5度 右第2趾潰瘍・壊死(図1)
  • WIFI分類:W 2/I 3/fl 1
  • 上肢下肢血圧比(ABI):測定不能
  • 皮膚組織灌流圧(SPP):足背0 mmHg、足底13 mmHg
  • ゴア® バイアバーン® ステントグラフトによる治療対象病変:右SFA CTO(病変長280 mm、閉塞長150 mm)
  • 右総腸骨動脈(CIA)入口部の高度狭窄病変および右EIA-CFA-SFA全領域にわたるCTO病変
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図1 右第2趾潰瘍・壊死

治療戦略・治療内容

患肢はCIAの高度狭窄、EIA-CFA-SFAのCTOを合併し極めて高度な虚血状態であった。
CFAのカットダウン・内膜摘除・ウシ心膜によるパッチ形成を行い、Iliac領域へのステント留置、その後SFAへの治療を一期的に行うハイブリッドストラテジーとした。
術前のCTでは、いずれの病変も高度石灰化を伴っている(図2)。
CFAおよびIliac領域治療後のSFA造影所見と石灰化の撮影では、閉塞長自体は150 mm程度だが、石灰化を伴う狭窄が連続しており、全体の病変長としては280 mmであった(図3)。

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図2 高度石灰化
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図3 治療前アンギオ・石灰化撮影

CFAを形成したパッチから順行性に7 Frのガイディングシースを挿入。5.5 Frのガイディングカテーテルを子カテとして用い、血管内超音波検査(IVUS)ガイドで0.014 inch ガイドワイヤーでワイヤリング。偽腔にずれる際は適宜別の0.014 inch ワイヤーでパラレルワイヤー法にて修正。石灰化の強い部分でワイヤー通過困難となったため、distal punctureを施行、表膝パンを行い、逆行性に0.014 inchガイドワイヤーとマイクロカテーテルを追従させた。最終的に逆行性からの0.014 inch ワイヤーを順行性からの5.5 Frガイディングカテーテル内にランデブーさせることに成功した。径3.0/長40 mmのハイプレッシャーバルーンにて拡張ののちIVUS確認。少なくとも中膜の内側でワイヤリングができていること確認。高度石灰化を伴うSFA CTOのCLTI症例であり、前拡張をしっかり行い十分な内腔を得た後に、バイアバーン® ステントグラフトでfull coverする方針とした。

Iliac治療時に使用していた径8.0/長40 mmのノンコンプライアントバルーンで病変全体を拡張。良好な内腔確保ができたことを確認後、遠位部SFAから近位部SFAまで径7.0/長250 mm および径8.0/長50 mmのバイアバーン® ステントグラフトで病変をfull coverするかたちで留置。径7.0/長100 mmのハイプレッシャーバルーンで後拡張を行った。バイアバーン® ステントグラフト留置部の良好な拡張(図4)と、患趾までの良好な血流を確認し手技終了とした(図5)。

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図4 バイアバーン® ステントグラフト留置部の良好な拡張
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図5 患趾までの良好な血流を確認

術後経過

血行再建後ABIは1.07に改善、SPPも足背82 mmHg、足底42 mmHgに改善した。
右第2趾のマイナーアンプテーションを行い、局所処置継続にて3か月で創傷治癒に至った(図6)。

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図6

コメント

特に complex lesion の代表ともいえる高度石灰化のCTO病変は、ワイヤリング自体も難易度が高く、ワイヤリング後のファイナライズも悩ましいことが多い。たとえ偽腔もしくは血管外のワイヤリングになっても最終的にproximal とdistal が真腔であればoptimal な result に持ち込めることがバイアバーン® ステントグラフトの最大の特徴である。また、高度石灰化病変は vessel preparationを怠った場合、いかなるファイナライズデバイスを使用しても長期成績は望みにくい。SFAデバイスの長期成績を妨げる因子として石灰化が挙げられる中、VANQUISH研究1 が示すようにバイアバーン® ステントグラフトにおいては、石灰化が開存率低下の要因とは示されなかった。今回のような石灰化を伴う複雑病変の場合は、aggressive vessel preparation を要することがあり、仮に問題となる血管損傷が起きた場合*であってもバイアバーン® ステントグラフトで病変をカバーすることで、血管内腔の確保が可能となる場合もある。バイアバーン® ステントグラフトがあることで、オペレーターはより積極的な血管拡張ができるようになったとも言える。IliacからCFAおよびSFAにわたる長区域・高度石灰化病変に対し、ハイブリッド治療とバイアバーン® ステントグラフトで血行再建し得たCLTI症例を提示した。


*浅大腿動脈の適用については電子添文をお読みください。

  1. lida O, Takahara M, Soga Y, et al; VANQUISH Investigators. One-year outcomes of heparin-bonded stent-graft therapy for real-world femoropopliteal lesions and the association of patency with the prothrombotic state based on the prospective, observational, multicenter Viabahn Stent-Graft Placement for Femoropopliteal Diseases Requiring Endovascular Therapy (VANQUISH) Study. Journal of Endovascular Therapy 2021;28(1):123-131.

本資料に示される情報は完全なものではなく、すべての症例に適用できるものではありません。また、電子添文および各症例に関する医療関係者の専門的な判断の代替となるものでもありません。各患者への医療行為に関するすべての判断は、それを行う各医療関係者の責任に属するものであり、当社はこれらに関する判断、助言等を行うものではありません。

 

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販売名:ゴア® バイアバーン® ステントグラフト

承認番号:22800BZX00070000

一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト