チャレンジングポイント
両側浅大腿動脈閉塞(TASC II C病変)に伴う跛行患者。長区域の浅大腿動脈閉塞病変であり、Final deviceとしてゴア® バイアバーン® ステントグラフトを選択した。病変の末梢には発達した側副血行路を伴っており、ステントで閉塞させるべきかどうか、悩ましい症例である。

患者背景・病変背景
- 年齢:70歳代 性別:男性
- Rutherford 3、重度間欠性跛行 50 m
- 対象病変部位:両側浅大腿動脈閉塞 TASC II C
- リスク因子:高血圧、脂質代謝異常症、冠動脈疾患
- ABI 測定値:右0.61 左0.63
治療戦略・治療内容
左浅大腿動脈閉塞(図1):右鼠径部を穿刺(6 Frシース)しcrossover後、順行性に0.014 inchマイクロカテーテルを使用して0.014 inchガイドワイヤー(先端荷重1 g→40 g)を進め貫通、IVUS catheterで真腔を捕らえていることを確認。5.0 mm径バルーン(non-compliant balloon)で拡張後解離が生じ、末梢にバイアバーン® ステントグラフト5.0 × 150 mm、中枢に6.0 × 150 mmの2本を留置。病変の末梢には発達した1本の側副血行路を伴い、側副血行路の中枢側に健常部位があったため、側副血行路をjailせずバイアバーン® ステントグラフトを留置。5.0 mm径と6.0 mm径バルーン(non-compliant balloon)で後拡張して終了。(図2)


右浅大腿動脈閉塞(図3): 左鼠径部を穿刺(6 Fr シース)しcrossover後、順行性に0.014 inchマイクロカテーテルを使用して0.014 inch ガイドワイヤー(先端荷重1 g →3 g →40 g)を進めたが貫通できず、足背動脈を穿刺し逆行性に0.014 inch ガイドワイヤーを進め、貫通に成功。IVUS catheterで一部 subintimal trackingしていることを確認。5.0 mm 径バルーン(non-compliant balloon)で拡張後解離が生じ、末梢にバイアバーン® ステントグラフト5.0 × 150 mm、中枢に6.0 × 250 mm の2本を留置。病変の末梢には発達した2本の側副血行路を伴い、側副血行路の間に軽度狭窄病変を認めたため、中枢側の側副血行路をjailさせ、健常部にバイアバーン® ステントグラフトを留置。5.0 mm 径と6.0 mm 径バルーン(non-compliant balloon)で後拡張して終了。(図4)


バイアバーン® ステントグラフトの選択理由
長区域の浅大腿動脈閉塞病変であり、治療方針決定の段階で外科治療とEVTの選択で悩まれていた患者。血管外科医とのdiscussionでbare metal stentなら外科治療の成績が優越するが、治験により病変長に依存しない成績が得られ、同様の治療成績が期待されるバイアバーン® ステントグラフトならtryしても良いのではないかとの結論に至り、EVTを施行した。
使用デバイス
- シース:6 Fr 45 cm sheath
- ガイドワイヤー:0.035 inch guidewire, 0.014 inch guidewire
- 前拡張バルーン:径5.0 / 長150 mm (semi-compliant balloon)
- ステント:バイアバーン® ステントグラフト
- 径5.0 / 長150 mm ×2本、径6.0 / 長150 mm
- 径6.0 / 長250 mm
- 後拡張バルーン:
- 径5.0 / 長150 mm (semi-compliant balloon)
- 径6.0 / 長40 mm (non-compliant balloon)
- その他:IVUS, 0.014 inchマイクロカテーテル
フォローアップ
バイアバーン® ステントグラフト留置後3年経過した現時点において跛行症状の再発やTLR なく、ABI 値は正常値 ( 右1.05 左1.05) を維持し、良好。
コメント
両側浅大腿動脈閉塞病変に対してバイアバーン® ステントグラフトにて血行再建術を施行し、その後3年の経過において良好な経過をみている(図5)。側副血行路を温存するかどうかの議論はあるが、バイアバーン®ステントグラフトを健常部に留置し、遠位部に残存狭窄を残さないことが重要と考えている。さらに定期的な duplexでのフォローアップで、ステントedgeや中枢側の新規病変を早期発見し治療することが、ステント閉塞予防に不可欠と思い、実践している。最後に、長区域の浅大腿動脈病変の治療は、外科治療のオプションも見据え、血管外科医との連携は極めて重要と考えている。

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販売名:ゴア® バイアバーン® ステントグラフト
承認番号:22800BZX00070000
一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト