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チャレンジングポイント

繰り返すAVG流出路狭窄に対し、頻回のPTAを繰り返している。また、過去に対側のシャントAVGには繰り返し狭窄や血栓性閉塞に対する治療介入が行われており、AVGの感染も来している。そのため、狭窄もしくは閉塞病変に対して経皮的に流出路の延長術が可能であるバイアバーン® ステントグラフトの良い適応と考えられた。

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山口 真一郎 先生 洛和会丸太町病院

患者背景・病変背景

  • 81歲女性
  • 慢性腎不全 原疾患:不明 2018年 血液透析導入

シャント手術歴

〈左〉(旧シャント)
2018 左前腕内シャント造設術
2019 左前腕人工血管内シャント造設 (ストレート形状で作製)、その後人工血管延長術および観血的血栓除去術 2回
2019/03 左上肢感染人工血管抜去術
2021/06 左前腕中央部露出人工血管抜去術

〈右〉(現シャント)
2019/02 右前腕内シャント造設術(タバチエール)
2019/08 右前腕遠位部内シャント造設術
2019/10 右肘部内シャント造設術、その後3回PTA
2020/09 右前腕人工血管内シャント造設 (ループ形状で作製)

  •    右上腕動脈-上腕遠位部橈側皮静脈
  •  ゴア® プロパテンバスキュラーグラフト径6 mmを使用

2020/12 PΤΑ
2021/02 PΤΑ
2021/04 バイアバーン® ステントグラフト留置 

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AVG デザイン
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静脈側吻合部病変

バイアバーン® ステントグラフト選択理由

人工血管の静脈側吻合部に短期間で繰り返す狭窄病変を認めていることが一番の理由であるが、当患者においては重要なもう一つの要因が存在する。
かつて使用されていた対側の人工血管を用いたシャントが、繰り返す血栓イベントにより開創し血栓除去を受けている。その過程で人工血管感染を起こし抜去術を余儀なくされていることから、今回の対象のAVG吻合部狭窄への修復には開創でなく、血管内治療での手技が好ましいと考えた。

使用デバイス

  • シース:7 Fr シース
  • ガイドワイヤー:0.018 inch (サポートタイプ)
  • PTA バルーンカテーテル:径6 mm×長100 mm
  • ステントグラフト:バイアバーン® ステントグラフト 径7 mm×長100 mm 

実際の治療

バイアバーン® ステントグラフト留置の手技については、当施設では概ね毎回同じ手技を実施している。ステントグラフトの長さについては病変に依存するが、径については6 mmの人工血管に対して、7 mmのバイアバーン® ステントグラフトを留置している。

静脈とはいえ、透析患者においては硬化性変化が強い病変が多く、indentation を残さずに pre dilatation をかけておくことが重要と考えられる。そこで、径7 mmのバイアバーン® ステントグラフト留置前に、径6 mmの高耐圧バルーンにてしっかり拡張し、indentationを残さないことを確認した。バイアバーン® ステントグラフト留置後もバルーンでステント内、特に人工血管とのオーバーラップ部位にしっかり圧をかけて後拡張を行っている。

また、バイアバーン® ステントグラフトは、位置決めをした後の留置時に移動する事象は自施設で行った症例ではほとんど認めていないが、展開時のstabilityを保つため0.018 inchのサポートワイヤーを用いることが多い。当患者においても、上記手技を行い良好なinitial successを得られた。他症例もほぼ同一の手技で行っているがサイズなどで問題になった症例は、本稿の執筆時点では経験していない。

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前拡張
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前拡張後造影
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バイアバーン ® ステントグラフト挿入
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最終造影

術後経過

半年以上経過フォローしているが、本稿の執筆時点では、人工血管および、バイアバーン® ステントグラフト内に再狭窄が認められず、順調に経過している。同肢には感染徴候も認めていない。

コメント

AVGの流出路狭窄は同治療における最大の問題点で、balloon angioplastyや人工血管延長術で治療が行われてきたが、いずれもその限界は明らかである。繰り返し再狭窄の要因は、人工血管と静脈の血管コンプライアンスの差によるシェアストレスなどが従来から報告されている1。人工血管吻合部の再狭窄に対して、血管内治療でバイアバーン® ステントグラフトを留置し治療が可能になったことは、多くの透析患者にとって福音となっている。比較的手技も簡便であり、本稿の執筆時点で、自施設における治療成績はballoon angioplastyに比べて良好である。また、臨床試験でもその有効性が示されている2。しかしながら、バイアバーン® ステントグラフト流出路側のedgeに再狭窄を来した症例も経験している。また、バイアバーン® ステントグラフトそのものは問題なくても、更に中枢の狭窄の進行によって血栓性閉塞を来した症例も経験した。留置後は丁寧なエコーによるフォローも重要と考える。


  1. Hiroaki Haruguchi MD et al. Intimal hyperplasia and hemodynamic factors in arterial bypass and arteriovenous grafts: a review. Journal of Artificial Organs. 2003 6(4):227-35.
  2. Thomas Vesely et al. Balloon angioplasty versus Viabahn stent graft for treatment of failing or thrombosed prosthetic hemodialysis grafts. Journal of Vascular Surgery. 2016 Nov;64(5):1400-1410. 

本資料に示される情報は完全なものではなく、すべての症例に適用できるものではありません。また、電子添文および各症例に関する医療関係者の専門的な判断の代替となるものでもありません。各患者への医療行為に関するすべての判断は、それを行う各医療関係者の責任に属するものであり、当社はこれらに関する判断、助言等を行うものではありません。

 

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弊社製品のご使用にあたっては、一部を除いて、関連学会によって策定された適正使用指針に定められた資格要件を満たしていただく必要があり、さらに弊社が提供する教育プログラムの終了が必須となります。 

販売名:ゴア® バイアバーン® ステントグラフト

承認番号:22800BZX00070000

一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト