本症例のポイント
繰り返し生じるAVG流出路の狭窄・閉塞に対して、人工血管延長術で改善したものの、流出路狭窄を再発していた。当院から遠距離のクリニックでのHD施行例で、当院にPTA目的に紹介された。POBAでの拡張直後、リコイルがあること、また、3か月後のエコーではFV・RIは許容域となるも狭窄の進行を認めたこと、HD中の静脈圧上昇があることから、POBAでの長期開存は困難と判断、また、閉塞に伴うリスクを考えゴア® バイアバーン® ステントグラフトを挿入することとした。

症例
- 76歳男性
- 原疾患糖尿病性腎症
- 現病歴
- 2018年5月: 左AVG作製
- 2019年3月: 同AVG血栓性閉塞に対して血栓除去術+人工血管延長術以降、2-3か月に一度のPTA施行
- 2020年2月: 紹介元での最後のPTA
- 2020年4月: 当院での最初のPTA6 mm径のバルーンを使用し20 atm で拡張するもののリコイルを認める
- 2020年7月: 長期開存は困難と判断し7 mm径のバイアバーン® ステントグラフトを挿入 (人工血管は6 mm径)

ゴア® バイアバーン® ステントグラフト選択の理由
AVG流出路の治療にはPTA、人工血管延長術がある。特に易狭窄病変の場合、人工血管置換術に至る症例も多い。本症例では置換術後も頻回狭窄を起こしているため、別の方法を検討する必要性があり、バイアバーン® ステントグラフトを使用するに至った。
人工血管のサイズより1サイズ大きな7 mm径のバイアバーン® ステントグラフトを選択した。狭窄長は56 mmであったので10 cm長のデバイスを用いた。
バイアバーン® ステントグラフトの展開は容易であったが、後拡張前の残存狭窄部分は造影時のデバイス形状から確認できた(図3)。バイアバーン® ステントグラフトの展開にあたっては柔らかいガイドワイヤーではデバイスのカテーテルが屈曲し展開が困難になる場合もあるので、硬質のガイドワイヤーを用いることが重要不可欠となる。
次にステントグラフト内の全長に渡り後拡張を行いバイアバーン® ステントグラフトを人工血管内に圧着した。バルーンカテーテルを挿入時に、バイアバーン® ステントグラフトをカテーテル先端で押し込んでしまうリスクがあるため、透視下に確認しながら挿入した。
最終的に造影検査で良好な血流、挿入位置の確認を行い終了 (図4)。
| 経過 | FV (ml/min) | RI |
|---|---|---|
| 留置3か月前 | 380 | 0.62 |
| バイアバーン® ステントグラフト留置日 | 742 | 0.474 |
| 術後1か月 | 1243 | 0.438 |
| 術後3か月 | 785 | 0.441 |
| 術後6か月 | 926 | 0.381 |
結果・術後経過
術後エコーでの機能評価、形態評価を行っているが、再狭窄なく経過している。
考察
AVG流出路は血管壁のコンプライアンスの差異からシェアストレスが生じやすく狭窄を引き起こしやすいと言われている。今回の症例では流出路狭窄により閉塞し、人工血管延長術を行った既往がある。その後も狭窄を繰り返しており、治療を要していた。POBAでの限界と考え、バイアバーン® ステントグラフトを挿入した。その後6か月の短期成績であるがエコー上狭窄の再発はなく、FVもRIも良好で推移している。バイアバーン® ステントグラフトの挿入は形態的には人工血管延長術と同様になるが、人工血管延長術の場合には血管剥離の操作が加わり血管がダメージを受けることで術後の狭窄が生じやすくなっていることが考えられる。バイアバーン® ステントグラフトの挿入では挿入血管へのダメージが手術と比較して少ないと考えられるため、術後の狭窄が生じづらくなることを期待している。今後の長期開存性に関しても経過観察が重要と考える。
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販売名:ゴア® バイアバーン® ステントグラフト
承認番号:22800BZX00070000
一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト



