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はじめに

本邦のJ-EVT registryからも示されているように1、昨今の日本のEVTにおけるSFA病変は6割以上がdrug coated balloon(DCB)を用いて治療されており、その割合は年々増加している。しかし、全てのSFA症例をいわゆるステントを用いない「leave nothing behind」で終えることは不可能であり、ステントを使用することで初期成功率や長期成績を改善させ得る可能性があることは周知の事実である

特にステント内閉塞症例では多量の血栓に代表される種々の問題からステント追加を余儀なくされることもあり、初期成功は得られても長期成績が不良という問題に悩まされてきた。

2024年10月にゴア® バイアバーン® ステントグラフトが浅大腿動脈におけるステント内再狭窄病変(ISR)用途適応が追加されたことから、今回、SFA再々閉塞症例に対しバイアバーン® ステントグラフトを用いた症例を報告する。 

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伊元 裕樹 先生 福岡和白病院

要約 

本症例は60代男性で、10年以上前に他院にて右SFAへbare metal stent(BMS)を留置され、その後の約3年間でバルーン拡張術(POBA)やdrug eluting stent(DES)の追加留置が行われているが、以降にSFA再々閉塞となったため保存的経過観察となっていた。急性心筋梗塞にて当院へ救急搬送されたことを契機に当院でのフォローが開始となり、右間欠性跛行残存の訴えがあった。

「浅大腿動脈の狭窄・閉塞病変に対するゴア® バイアバーン® ステントグラフト適正使用指針」にて「末梢血管用ステントグラフトをステント内再狭窄に使用する場合は、原則としてステント内閉塞、繰り返すステント内再狭窄、長区域病変等に使用することが望ましい」とされていることから、治療適応と判断し患者の同意を得て今回EVT施行となった。

治療内容 

  1. SFA起始部にわずかなstumpを認め、膝窩動脈のP1-segmentまで連続する閉塞病変あり(図1)
  2. 4 Fr IMA(内胸動脈用)造影カテーテル併用し0.014 inch wireを閉塞内へ進入し、ステント近位まで比較的容易にワイヤリングすることに成功(血管内超音波(IVUS)にてintra-plaqueであることを確認)
  3. ステント近位端は非常に硬化しており、0.014 inch wireでのknuckle wiringおよび0.035 inch wire のtail 側でもステント内へ進入できず
  4. 4 Fr IMA造影カテーテルにマイクロカテーテル併用下でtapered coil typeの0.018 inch wireにてなんとかステント近位端を通過(図2)
  5. ステント近位端のみではなく、遠位端やBMSとDESとの重複留置部の硬化が強く難渋したが、なんとか閉塞病変を通過(図3)
  6. マイクロカテーテルは硬化した閉塞部を通過せず、metal tip typeのマイクロカテーテルも通過しなかったことから、ブロッケンブロー針にて病変通過(図4)
  7. デバイス通過が容易となりIVUS評価後にハイプレッシャーバルーンにて前拡張を行った(遠位部塞栓予防のため閉塞遠位端はあえて前拡張せず)(図5)
  8. IVUSにて膝窩動脈のP1-segmentへ流入するcollateralを同定し、同部位をバイアバーン® ステントグラフト留置のlanding zoneとした(P2-segmentにもplaqueと軽度狭窄を認めたが、P2-segmentは留置適応外である上、landing zoneとしたcollateral流入部のplaqueはわずかであった)
  9. IVUSマーキングを参考にバイアバーン® ステントグラフト6.0/250 mmを留置し、SFA起始部までカバーするためバイアバーン® ステントグラフト5.0/100 mmを連結して追加留置(図6-7)
  10. ハイプレッシャーバルーンで後拡張を行い、良好な血流再開を得られ手技終了(図8) 
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図1大腿部・術前
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図1 膝窩部・術前
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図8 大腿部・術後
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図8 膝窩部・術後
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図2
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図3
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図4
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図5
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図6
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図7

考察

本症例は他院にてBMSやDES留置後に再々閉塞となってから比較的長期間が経過してからの治療ではあるが、個人的経験からもDES留置後の再閉塞病変は両端が非常に硬化している症例がある上、ステント内閉塞病変には多量の血栓が関与する場合もある。hard type plaqueや多量の血栓はDCBで治療を行う際に最も重要なacute gainの障害となる可能性が高く、本症例もBMSとDESともに閉塞しておりステントとして唯一の選択肢がバイアバーン® ステントグラフトであった。

昨今ではデバルキングデバイスや血栓吸引デバイスも施設限定で使用可能とはなっているものの、ISR症例は内膜肥厚による再狭窄を繰り返すことも多く、内膜肥厚が生じにくいステントグラフトは複数・頻回の治療となる悪循環から脱却し得る唯一のステントとしても期待できる。


  1. 日本心血管インターベンション学会. レジストリ委員会. 2024 年次報告会. J-EVT データ集計. アクセス 2025年7月4日. https://www.cvit.jp/_new/docs/registry/annual-report/j-evt/2024.pdf 

本資料に示される情報は完全なものではなく、すべての症例に適用できるものではありません。また、電子添文および各症例に関する医療関係者の専門的な判断の代替となるものでもありません。各患者への医療行為に関するすべての判断は、それを行う各医療関係者の責任に属するものであり、当社はこれらに関する判断、助言等を行うものではありません。 

 

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弊社製品のご使用にあたっては、一部を除いて、関連学会によって策定された適正使用指針に定められた資格要件を満たしていただく必要があり、さらに弊社が提供する教育プログラムの終了が必須となります。

販売名:ゴア® バイアバーン® ステントグラフト

承認番号:22800BZX00070000

一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト