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はじめに 

ステント内再狭窄(ISR)においては新生内膜が、再閉塞(ISO)の治療においては堆積した血栓の処理が大きな問題となる。特殊型バルーンやハイプレッシャーバルーン、さらに血栓吸引やレーザーを駆使して十分に除去出来れば薬剤塗布型バルーン(DCB)でのファイナライズに持ち込めるが、必ずしも綺麗にpreparation出来るわけではない。ステントグラフトは血栓の内腔へのprotrusionを起こさずに「ステントの内壁環境をリセット」することが期待される。ISR/ISOへの適応が追加されたバイアバーン® ステントグラフトはこのようなステント内狭窄や閉塞病変の治療における「頼みの綱」として活躍が期待される。 

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岩田 曜 先生 船橋市立医療センター

要約 

7年ぶりに跛行が再燃し、数か月間の薬物運動療法を経てなお症状が改善しない。造影を行うと過去に右浅大腿動脈(SFA)に留置された総長約35 cmのベアメタルステント(BMS)の入口部から閉塞していた。ステント内を大量の器質化血栓が占めており、バルーンベースでの治療では良好な仕上がりは得られないため、バイアバーン® ステントグラフトを2本、ステントをフルカバーして留置した。

症例  

  • 年齢:78歳
  • 性別:男性
  • 対象病変部位:右浅大腿動脈ステント内再閉塞
  • リスク因子:高血圧、高脂血症、喫煙歴、心房細動
  • Rutherford 分類:3度
  • TOSAKA分類:Class 3 

治療内容   

過去にSFAに留置された総長約35 cmの3本のBMSの入口部からの閉塞(動画1)近位端はSFA入口部から1 cm程度の健常部があり、遠位端は膝窩動脈近位部(P1)で側副血行流入部まで1 cmの余白がある。対側山越えアプローチで6 Frガイディングシースを挿入して治療を開始した。ステント外を通過しないように0.035 inchのガイドワイヤーを選択すると容易に遠位部へ到達することが出来た(動画2)。この手ごたえから血栓性病変であることが予想された。持続吸引カテーテルを用いて何度か血栓吸引を行ったが血流は再開しなかった(動画3)。

動画1: 術前 

動画2: ワイヤー通過後 

動画3: 血栓吸引後造影 

血管内超音波(IVUS)を行うとガイドワイヤーはステントの中心部を通過していたが、予想通り病変内には大量の血栓が堆積していた(動画4)。7 mmのバルーンで拡張したのち、ステント遠位端より2 cm程度離れた遠位の健常部にhealthy landingをとって(動画5)バイアバーン® ステントグラフト6 × 250 mmを留置した。近位側はステント近位端より1 cm程度離れたSFA入口部の健常部にhealthy landingをとって(動画6)バイアバーン® ステントグラフト7 × 150 mmを留置した。上下端とも既存のステントより外側にランディングをとること、ステントグラフトの電子添文の「使用上の注意」にあたる主要な側枝に注意して、大腿深動脈(DFA)や側副血行の流入部にかからないよう留意した。後拡張は血栓の上下方向へのprotrusionを防ぐ目的で先に遠位端、近位端の順に高圧バルーンで拡張し健常部血管壁への圧着をとった。ステントグラフトの中間部への後拡張はそのあとに続いて行った。最終造影で末梢まで塞栓がないことを確認して終了した(動画7)。 

動画4:IVUS画像

動画5:6 × 250 mm留置

動画6:7 × 150 mm留置 

動画7:術後

考察 

本例のようなステント再閉塞例(TOSAKA分類3)は再治療後の成績が不良で、バルーンによる再治療後の1年後の再々治療回避率が23%と極めて低い1ことが知られ、ステント治療の大きな問題点の一つであった。RELINE MAX試験2はステント内再狭窄86例(その内ステント再閉塞は29%)に対するバイアバーン® ステントグラフトによる治療後の再治療回避率が1年後で85%、3年後で65%と良好な成績を示した。TOSAKA分類3に対しても1年後の再治療回避率65%で、これまでの種々の治療に比しても良好であった。

ステント再閉塞は新生内膜肥厚と血栓がからむ複合的な病態であり、血栓吸引やDCBのみでは必ずしも解決しないことが少なくない。バイアバーン® ステントグラフトで血管内に新しい裏地をつける(relineする)治療は、この領域における治療オプションとして有用である。これまでの長区域病変、石灰化病変に加えてステント再閉塞に対する治療を計画する際は、あらかじめバイアバーン® ステントグラフトを用意することが推奨される。

一連の動画再生 


  1. Tosaka A, Soga Y, Iida O, et al. Classification and clinical impact of restenosis after femoropopliteal stenting. Journal of the American College of Cardiology 2012;59(1):16-23.  
  2. Soukas P, Becker M, Stark K, Tepe G; RELINE MAX Investigators. Three-year results of the GORE® VIABAHN® endoprosthesis in the superficial femoral artery for in-stent restenosis. Journal of the Society for Cardiovascular Angiography & Interventions 2023;2(6) Part A:101183. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2772930323011857 

本資料に示される情報は完全なものではなく、すべての症例に適用できるものではありません。また、電子添文および各症例に関する医療関係者の専門的な判断の代替となるものでもありません。各患者への医療行為に関するすべての判断は、それを行う各医療関係者の責任に属するものであり、当社はこれらに関する判断、助言等を行うものではありません。 

 

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販売名:ゴア® バイアバーン® ステントグラフト

承認番号:22800BZX00070000

一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト