上肢血管からの新たな選択肢
腸骨動脈の血管内治療(EVT)は、高度石灰化病変が唯一のアキレス腱であったが、VBX ステントグラフトの登場により、さらにEVT が確立した領域となっている1。開存率がさらに安定した一方で、術後の出血イベントが生命予後に関連する報告があり、穿刺部出血を含めた管理が重要である2。本症例では高度石灰化病変に対し、ロープロファイル化されたVBX ステントグラフトを上肢からアプローチした症例を提示する。ポイントとして、独立リングのステント構造は上肢アプローチによる屈曲に対してもデリバリー性は非常に良好であった。また留置直前に6 Fr ガイディングシースからの造影もでき正確な位置決めが可能であったことは術者には心強い。一方でデフレーション後のバルーン離れが通常のステントとは異なる場合があるため、バルーンの完全収縮にはより時間をかけて対応することを勧める。
これまでは、小柄な体格の患者に7 Frデバイスを入れるべきかどうか悩むケースも多かったように思う。従来の高い開存率と出血リスクの低減が期待されるロープロファイル化製品の登場により、複雑な大動脈腸骨動脈病変に対しVBX ステントグラフトを選択する機会が増えることが予想される。

術前造影画像
最終造影画像
留置後のIVUS画像
患者背景・病変背景
- 年齢:70 歳
- 性別:男性
- 対象病変部位:右総腸骨動脈
- リスク因子:高血圧、脂質異常症、2 型糖尿病、末期腎不全、冠動脈疾患
- Rutherford 分類:5 度 重症下肢虚血
- TASC* II 分類:B
使用デバイス
- シース:6 Fr 90 cm ガイディングシース
- ガイドワイヤー:0.035 inch, 0.014 inch, 0.035 inchスティッフタイプ
- 前拡張バルーン:6.0 × 40 mm(non-compliant balloon)
- ステントグラフト:7 × 39 mm(BXB073902J)
- 後拡張バルーン:10.0 × 40 mm(semi-compliant balloon)
- その他:血管内超音波(IVUS)
治療戦略、治療内容
本症例は総大腿動脈からの順行性穿刺による右膝下動脈の治療を予定していることから、上腕動脈穿刺による腸骨動脈へのEVTを計画した。右上腕動脈から6 Frガイディングシースを用いてアプローチし、術前の下肢血管造影を行った。重症下肢虚血患者であり、安定したinflowの確保が重要と考え、高度石灰化を伴うことおよび血管径が11 mmと大きいことを踏まえ、後拡張の汎用性の高いVBX ステントグラフトを選択する方針とした。0.014 inchガイドワイヤーで病変通過後、6.0 × 40 mmバルーンで前拡張を行った(図1)。ガイドワイヤーを0.035 inchスティッフタイプに変更し、VBX ステントグラフト7 × 39 mmを後拡張での短縮を考慮し、数 mm 程度大動脈に突出させる形で留置した(図 2)。10.0 × 40 mmバルーンで後拡張(図3)を行い、IVUSで解離等がないことを確認し、最終造影で合併症が無いことを確認し手技を終了した。



一連の動画再生
*TASC: TransAtlantic Inter-Society Consensus
- Tomoi Y, Takaharas M, Soga Y, et al. ADOCADO [sic] II Investigators. Clinical outcome of endovascular therapy using a VIABAHN VBX-covered stent for complex aortoiliac artery disease: the AVOCADO II study. Heart & Vessels 2023;1288-1297.
- Tomoi Y, Kuramitsu S, Shinozaki T, et al. Validation of the Academic Research Consortium High Bleeding Risk (ARC-HBR) criteria in patients undergoing peripheral endovascular interventions. EuroIntervention 2023;18(16):e1368-e1377
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販売名:ゴア® バイアバーン® VBX バルーン拡張型ステントグラフト
承認番号:22900BZX00309000
一般的名称:ヘパリン使用中心循環系ステントグラフト